青春時代にすれちがった恋の思い出

中学3年生のころ、内気な男子であった私は、私は隣のクラスの女の子のことが好きでした。
きっかけは、まずその子が私に好意を持ってくれたからです。

と、こう書くと“両思い”みたいですが、けっきょく私たちが付き合うことはありませんでした。

彼女が私に好意があるとわかったのは、彼女のいわば“取り巻き”の女の子たちからの伝言によってでした。
「◯◯ちゃんは君に片思いしているよ! どうする?!」
女の子たちの喜びそうな恋の話題です。そのうえ、友達どうしの恋を成就させてあげたい、という少女にありがちなおせっかい……。

こういった状況を嫌がる男子は多いと思うのですが、私の場合はすごく嬉しかった。
それは、もともとその女子のことが嫌いではなかったし、むしろお話できたらいいなあ、と興味をもっていたからです。

じゃあ付き合えばよかったし、付き合える可能性はかなり高かったと思うのですが、けっきょくそのチャンスは巡ってきませんでした。めぐり合わせというか、運命というか……お互いに噂のなかで想いを曖昧に伝え合うまま、卒業を迎え、ちがう高校へと進学していきました。

高校生になってから、未練がましくその子に手紙を書いたことがあります。
「あのときは直接やりとりできなかったけれど、まだ好きっていう気持ちは残ってるんだ」
といった内容だったと思います。

その手紙に対する彼女の返信はこうでした。
「今は付き合っている人がいるから気持ちに応えられない。それに、あのときの淡い気持ち、あの付かず離れずの距離感でしか生まれなかったあの恋心を、いつまでも大切にしておきたい」、と。